【言語学】

アナウンス

効果的なアナウンス表現とは、日仏対照

安齋有紀先生

 

島根大学

法文学部 言語文化学科(人文社会科学研究科 言語・社会文化専攻)

 

 出会いの一冊

日本語の森を歩いて フランス語から見た日本語学

フランス・ドルヌ、小林康夫(講談社現代新書)

「どうしてこういう時はこう言うのだろう」という身近な例に触れながら、外国語を通して日本語の「個性」に気づくことができる一冊です。

さらに、外国語と日本語を「言語」という同じ視線で見つめることができるようになり、言葉を「学ぶ楽しみ」と「使う楽しみ」に出会えます。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

効果的なアナウンス表現とは、日仏対照

文字と音声、それぞれの特徴

街の中で、看板や張り紙で何かの情報を目にしたり、音声によるアナウンスを耳にした時、どのように印象に残っていますか。

視覚的な情報である文字表示はメッセージの持続性や恒常性があるのに対し、聴覚的な情報である音声アナウンスは瞬間性や緊迫性という特徴があります。

 

また、看板やポスターは文字を書くスペースに限りがあるので、簡潔なメッセージでなくてはなりません。音声の場合は「時間」に限りがあります。

その上、文字のように目の前に残ってくれないので、短い時間で的確かつ記憶に残るような表現であることが求められます。

 

メッセージの発信者は、情報を提供する場所や相手、内容によってどの方法がより効果的かを考えています。

では、どのような表現を使えばメッセージを受け取った人がよりよく反応してくれるのでしょうか。

 

音声が「個」に働きかける力

 

さらに、公共空間でメッセージを受信する側の意識について考えてみましょう。音声には個性があります。実際は対面で個別に会話をしているわけではありませんが、

「声」によってメッセージの発信者の存在が意識されやすくなり、擬似的な対話関係がその場に作り出されます。

 

不特定多数に宛てられたメッセージでも、アナウンスによっては自分が呼びかけられているように感じることもあります。

音声によるアナウンスのどのような特性が不特定多数の中の「個」に働きかける力となっているのでしょうか。このように、日常に観察されることばの使用事例について日本語とフランス語を対照しながら、それぞれの言語の特徴を探っています。

 

出雲市の観光パンフレット「フランス語版」を作りました
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 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「公共空間における口頭アナウンス表現を中心とした発話の簡潔性に関する日仏対照研究」

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 どこで学べる?

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20.文化・文学・歴史・哲学」の「82.文学、美学・美術史・芸術論、外国語学」

 


 学生に話すこと

2年次専門科目履修の際には

 

言語に興味がある学生に対して「外国語」をどうとらえるか、日本語(母国語)とどう向き合うか、複数の言語を対照することで何がみえてくるのか、など「ことば」の研究へのアプローチの話をします。

  

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課外活動「留学生と藻塩づくり体験」
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言語文化学科は、6つの研究室(日本言語文化/中国言語文化/英米言語文化/ドイツ言語文化/フランス言語文化/哲学・芸術・文化交流)が、様々な地域・時代の「言語」と「文化」の関係を、多角的なアプローチで学べるように授業を展開しています。一つの言語文化圏にとらわれず、複数の言語文化圏について学び、対照することで学生の視野が広がり、自国の言語文化を客観的にとらえる力が身につきます。

 

 先生に一問一答

Q1.大学時代の部活・サークルは?

オーケストラ部

 

Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

 歌舞伎座

 

Q3.研究以外で楽しいことは?

オーケストラや室内楽での演奏