【英語学】

文の構造

大量のテキストをコンピュータで解析し、談話の構造を探る

長谷部陽一郎先生

 

同志社大学

グローバル・コミュニケーション学部 グローバル・コミュニケーション学科

 

 出会いの一冊

あなたの人生の物語

テッド・チャン、訳:公手成幸、浅倉久志、古沢嘉通、嶋田洋一(ハヤカワ文庫SF)

SF中編小説です。『メッセージ』というタイトルで映画化もされました。地球に異星人たちの宇宙船がやってきて、米軍は彼らとコミュニケーションをとるため、言語学者である主人公のルイーズに、異星人が使う言語を調査するよう依頼します。

 

この異星語を理解するにつれて、ルイーズの中で変化が生じてくる…というのが大まかなストーリーです。「ことば」と私たちが知る「世界」の関係について、大いに考えさせてくれます。また、会話の中に言語学上の専門的な用語が散りばめられていたりするのも興味深いポイントです。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

大量のテキストをコンピュータで解析し、談話の構造を探る

情報を構造化して伝える

文は1つ1つの語を組み合わせて作られます。そして私たちは言いたいことを文の形で発信します。しかし、伝えたい内容がある程度複雑な時、1つや2つの文だけでは適切に言い表すことができません。また、つながりが悪いと、意図した内容が伝わらない可能性があります。または、相手は聞くのをやめてしまうかもしれません。

 

ですから、私たちは、まず、自分の考えを整理して、聞き手の前提知識を想像し、その上で、なるべく効率的・効果的にメッセージが伝わるよう情報を構造化することに努めます。

 

英語における「考えのまとまり」のパターン

 

では、英語という、皆さんも日々勉強なさっている言語において、「文と文のつながり」や「考えのまとまり」にはどのようなパターンがあるのでしょうか。

 

こうしたパターンを具体的に知ることができたら、言葉を用いた人間のコミュニケーションについて、もっと理解が深まるでしょう。また、英語を習得して使いこなしたいと願う学習者にとっても役立つでしょう。

 

プレゼンのデータから論理構造を探る

 

こうした考えのもと、私は英語によるプレゼンテーションのデータを大量に集めて、コンピュータを使って分析し、論理構造のパターンを見出すことを試みています。

 

これまでコンピュータは、コミュニケーションのツールとして活用されてきましたが(Eメール、SNS、etc.)、私たちが上手くコミュニケーションを行うためのヒントを与えてくれる存在にもなり得るわけです。すばらしい時代だと思いませんか。

 

研究の一環で開発している言語データ検索システムTCSE
研究の一環で開発している言語データ検索システムTCSE
 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「英語話し言葉コーパスを用いた談話論理構造パターンの認知言語学的分析」

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日本人の英語

マーク・ピーターセン(岩波新書)

英語ネイティブ・スピーカーの立場から、日本人が話したり書いたりする英語の特徴について考察した本です。外国語の学習者は、とかく文法を規則として理解しようとしますが、実際の言葉の背後にはそれぞれの言語なりの「捉え方」があり、それを習得するのが必要だということがよくわかります。このことは、私が専門としている「認知言語学」という研究分野で非常に重視されていることです。