【観光学】

PES(生態系サービスへの支払い)

自然環境に価格を設定、観光客が支払い環境保全

柴田晋吾先生

 

上智大学

地球環境学研究科 地球環境学専攻

 

 出会いの一冊

環境にお金を払う仕組み PES(生態系サービスへの支払い)が分かる本

柴田晋吾(大学教育出版)

自然環境の恵みである「生態系サービス」に対してお金を払う仕組みである「PES(生態系サービスへの支払い)」という革新的な取り組みが生まれた背景、仕組み、実際の事例について、国際的な視点で最新の知見をまとめています。環境がただでなくなりつつある今日、環境を守るためにあなたもPESを勉強してみませんか。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

自然環境に価格を設定、観光客が支払い環境保全

自然は無料なのか

環境問題は、SDGsの実現の多くに関わり、社会経済分野とも直接的に関わるため、分野横断的かつ多様なステークホルダーが参画しないと解決は難しい問題です。しかしながら、環境問題を乗り越えないと、人類の未来もありません。

 

森林や自然環境に対する多様な人類のニーズのバランスを取ることは、簡単ではありません。その一つの理由は、自然が生む環境の恵み・価値の多くが長年無料であると考えられてきたため、どんどん失われてきたからです。

 

環境から恩恵を受けた人が支払う

 

そこで、一つの解決策として、環境の価値にお金をつけて商品のように取引ができる仕組みや恩恵を受けた人が支払う仕組みが考案されました。例えば、河川の下流の水利用者が上流の土地利用者に対して、水をきれいにすることに対する支払いを行うような仕組みです。

 

生態系サービスへの支払い(PES)と呼ばれるこの革新的な仕組みは、世界的な関心を引いています。海外では企業などを巻き込んで、観光客やレクリエーション利用者から、環境保全目的のための自主的な支払いをお願いする取り組みも行われています。私も新潟県湯沢町のご協力を得て、同様な社会実験を行っています。

 

実社会で実験データを取る

 

実際に社会の人々の参加を得ながら、実験データを取ることもできるという社会実験は、とてもワクワクする手法です。生態系サービスを維持・増進させるための革新的な手法について関心を持たれた方は、是非私の個人のウェブサイトを見てください。

 

研究フィールドの一つである軽井沢町にある「ソフィアの森」での現地研修にて。(柴田先生は前列中央)
研究フィールドの一つである軽井沢町にある「ソフィアの森」での現地研修にて。(柴田先生は前列中央)
 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「ツーリズム・レクリエーション利用者による支払いのあり方についての研究」

詳しくはこちら

 

欧州スロバキアで開催された「欧州・水関係の生態系サービスの支払い研究ネットワーク」総会での招聘講演
欧州スロバキアで開催された「欧州・水関係の生態系サービスの支払い研究ネットワーク」総会での招聘講演
 どこで学べる?

「観光学」学べる大学・研究者はこちら(※みらいぶっくへ)

 

その領域カテゴリーはこちら↓

20.文化・文学・歴史・哲学」の「81.地域研究、文化人類学・民俗学」

 


 もっと先生の研究・研究室を見てみよう

柴田研究室HP

 

「森林環境税」は環境価値の高い豊かな森をつくる国民協働の契機に(読売オンライン/※リンクは研究室HPより))

 

Corporate Social Responsibility Kyoto-Style: Kyoto Model Forest’s Approach to Collaborative Forest Management(国際モデルフォレストウェブサイト/※リンクは研究室HPより)

 

Progress, plans and potential impact at SINCERE halfway point(SINCERE General Assembly December 2019/※リンクは研究室HPより)

 

「基調報告『生態系サービスビジネス』の黎明 諸外国に拡がる、野生・自然と健康に根差した新たなサービス経済」(フォレスト・サポーターズホームページ/※リンクは研究室HPより)

 

ゼミでの一コマ。アジア、アフリカ、アメリカなど世界各地の留学生が集まってきています。
ゼミでの一コマ。アジア、アフリカ、アメリカなど世界各地の留学生が集まってきています。
 先輩にはこんな人がいる ~就職

◆主な業職種

 

(1)シンクタンクの研究員

(2)国際機関の研究員

(3)メーカーの従業員

 

 中高生におすすめ ~世界は広いし学びは深い

エコ・フォレスティング

柴田晋吾(日本林業調査会)

世界の森を守り、活かすための新たな方策は何でしょうか。それは、森に対する視座を広げ、多様な考え方を取り入れることです。

本書では、欧米諸国等の20世紀後半以降の森の取り扱いについての思想と手法をめぐる歴史的経緯を振り返って、このことを明らかにするとともに、今日不可欠となりつつある「生態系アプローチ」と「参加・協働」などの考え方を事例に基づいて具体的に解説しています。

 



旅をする木

星野道夫(文春文庫)

非凡な冒険家による、アラスカなどを舞台とした壮大な自然と動物、そして人々をめぐる様々な出来事の描写を読むことで、未知のロマンや感動に触れることができます。



沈黙の春

レイチェル・カーソン、訳:青樹簗一(新潮文庫)

化学物質が人類に与える被害を最初に告発した古典であり、環境問題への関心がある読者におすすめです。



こころの処方箋

河合隼雄(新潮文庫)

若者たちが迷ったり、つまずいたりした時に、参考になる考え方を提供しています。