【経済政策】

経済の停滞

コロナ危機で世界経済が停滞。100年前のパンデミックに学べ

平田英明先生

 

法政大学

経営学部 経営戦略学科(経営学研究科 経営学専攻)

 

 出会いの一冊

歴史を学ぶということ

入江昭(講談社現代新書)

歴史を研究として学んでいる一線の研究者のマインドが学べます。暗記が中心となる勉強は真の学びではないことがよくわかると思います。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

コロナ危機で世界経済が停滞。100年前のパンデミックに学べ

ステイホームで生産や消費が縮小

皆さんは、振り子の同期現象を知っていますか。振り子時計を2台隣同士においておくと、最初は振り子の振れ方がバラバラでも、そのうち動きが揃ってしまう不思議な現象です。

 

経済活動でも、ある国の経済の動きが他の国の経済の動きに似ていくという現象が観察されることがあります。

 

例えば、新型コロナウィルス危機の影響で世界各国の経済活動は大きく停滞しそうです。これは、ステイホームをせざるを得ないため、企業の生産活動をどの国でも縮小しないといけないからかもしれません。あるいは、影響が長続きしそうだと人々がマイナス思考となり、節約モードに入るからかもしれません。

 

過去の研究手法も学ぶ

 

この様な可能性を考えることとは、仮説を立てることに他なりません。ですが、仮説は所詮仮説です。仮説の妥当性の解明が求められます。

 

研究者が最初にやることは歴史から学ぶこと、すなわち過去の同様の事例を調べることです。調べるのは過去の事実だけではなく、過去の研究(分析手法)についてもです。驚くことに、危機から数か月で、100年前のスペイン風邪を参考にした数々の研究が報告されています。

 

また、学問のクロス・オーバーも有効です。実は、振り子の同期現象の数理が経済分析にも応用されています。他分野のアプローチ応用した革新的な研究は、ワクワク感と斬新な結果をもたらし、人類の英知のフロンティアを切り開くことになります。

 

ゼミ生と
ゼミ生と
 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「国際的な産業部門別生産性の連動と長期停滞論の関係の解明」

詳しくはこちら

 

 注目の研究者や研究の大学へ行こう!

吉川洋

立正大学 経済学部 経済学科/経済学研究科 経済学専攻

【マクロ経済学】常に謙虚に研究し、一方で持論には絶対的な自信を持って雄弁に説明している点が素晴らしいと思います。

吉川先生のページ


宮川努

学習院大学 経済学部 経済学科/経済学研究科 経済学専攻

【マクロ経済学】圧倒的な情報量で、他を寄せつけない重厚な研究をしています。

宮川先生のページ 


宮川大介

一橋大学 経営管理研究科 経営管理専攻

【マクロ経済学】研究へのエネルギーと溢れ出るアイデアの融合による創造性が魅力的です。

宮川先生のページ

 


 どこで学べる?

「経済政策」学べる大学・研究者はこちら(※みらいぶっくへ)

 

その領域カテゴリーはこちら↓

18.社会・法・国際・経済」の「75.経済学、農業経済・開発経済」

 


 もっと先生の研究・研究室を見てみよう
ゼミ生と懸賞論文授賞式にて
ゼミ生と懸賞論文授賞式にて
 先輩にはこんな人がいる ~就職

◆主な業種

 

(1)金融・保険・証券・ファイナンシャル

(2)官庁、自治体、公的法人、国際機関等

(3)ソフトウエア、情報システム開発

 

◆主な職種

 

(1)経理・会計・財務、金融・ファイナンス、その他会計・財務・金融系専門職

(2)総務

(3)営業、営業企画、事業統括

  

◆学んだことはどう生きる?

 

当初は金融業界に就職し、中小企業向けの資金の貸し付けを担当していた卒業生がいました。しかし、資金繰りに苦しむ企業や、様々なトラブルに巻き込まれる企業の厳しい現実を知り、一念発起して退職した上で、弁護士を目指しました。金融と法務という分野をまたいだ先に新しい世界があることを、彼は見抜いていました。現在では、金融機関での実務経験を活かしながら、弁護士として、日々中小企業の相談に乗る充実した日々を過ごしています。

 

 先生の学部・学科は?

経営学部は、その名の通り、企業の経営に関わる学びの機会を提供する学部です。そして、私から見ると、経営学部は動物園のような学部です。なぜなら、企業の学びに関わる学問分野は多岐に渡るからです。法政大学経営学部は、規模も国内最大級のため、主要分野に複数名の教員を配置し、重層的かつ先進的な教育・研究体制を構築しています。

 

 中高生におすすめ ~世界は広いし学びは深い

大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済

高槻泰郎(講談社現代新書)

江戸時代の米市場が現代的な先進的なマーケット構造を持っていたことを学べます。丁寧に調べ、人に伝えていく技法を味わうことができると思います。



高度成長 日本を変えた六〇〇〇日

吉川洋(中公文庫)

高度成長期の経済動向を豊富な事実と、マクロ経済学者ならではの切り口で考察した一冊。経済学的思考をすんなりと知ることができると思います。



生産性とは何か 日本経済の活力を問いなおす

宮川努(ちくま書店)

かつては世界トップレベルといわれた日本の企業の生産性。近年では、むしろその低さが日本経済の停滞の一因だと言われます。

 

生産性とは何でしょうか。昨日よりも今日の方が、勉強がはかどったのであれば、今日の方が学びの生産性は高かったということです。つまり、生産性とは生産の効率度合いを意味します。生産の効率が低いとは、少子高齢化の進む日本にとっては一大事です。

 

生産性を高めるにはどうすればいいのか、各国の生産性の違いは何か、こういったテーマに順を追って答えているのが本書です。そして、生産性向上に政府の果たせる役割にも言及しています。生産性研究の第一人者が、平易な語り口で主要な論点をコンパクトに紹介してくれます。

 


 先生に一問一答

Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 

アメリカ。多様性のメリットデメリットを肌で感じられるから。

 

Q2.一番聴いている音楽アーティストは?

故人ですが、指揮者のカルロス・クライバー。特に、『ブラームス 交響曲第四番』が好きです。

 

Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は?

アルフレッド・ヒッチコック監督の『知りすぎていた男』。

 

Q4.大学時代の部活・サークルは?

クラシック音楽の評論サークル

 

Q5.会ってみたい有名人は?

デーモン閣下(有名「人」ではありませんが...)