【商学】

SNSと消費者行動

人がモノを買う過程にSNSはどう影響する?世界初の包括的研究

清水聰先生

 

慶應義塾大学

商学部 商学科(商学研究科 商学専攻)

 

 出会いの一作品

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(映画)

ジョン・リー・ハンコック(監督)

これは、皆さんがよく利用しているマクドナルドが成功していくまでを描いた映画です。トリビア的であると同時に、経営学やマーケティングの考えがふんだんに盛り込まれ、きれいごとでは世の中いかないよ、ということがわかります。高校生の皆さんにお勧めです。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

人がモノを買う過程にSNSはどう影響する?世界初の包括的研究

利用者の生の声がわかるSNS

皆さんはモノを買う時、例えばスニーカーを買う時、何の情報を参考にしますか。

 

店員さんの説明を受ける人もいれば、そのスニーカーのホームページやネットショップの説明を読んだり、スニーカーに詳しい先輩や友達からアドバイスをもらったり、SNSでの発言を調べたり、様々でしょう。

 

特に、スマートフォンですぐ調べられ、利用者の生の声がわかるSNSの情報は、モノを買うとき、すごく役立っているのではないでしょうか。

 

SNSは製品の広告にもなり、営業妨害にもなる

 

企業にとって、このSNSは結構厄介です。自社のスニーカーをSNS上でほめてくれる人がいれば、広告をしなくても人気が出るのでありがたいのですが、逆にそのスニーカーのことを悪く言う人がいて、それが拡散されてしまった場合、たとえそれがフェイクニュースだとしても、防ぐ術がありません。

 

SNSと消費者行動の関係を捉える研究

 

私は、人がモノを買う際、SNSはどのくらい役立つのか、どういうSNSだったら買いたくなるのか、どのタイミングでSNSの情報を使うのか、実際にモノを買い利用した後に、SNSで情報を拡散してくれる人は誰か、その中で役立つSNSを発信するのは誰か、SNSに「いいね」を押した人は本当に買うのか、など、SNSと購買の関係を、人がモノを買うまでの一連の流れ(これを消費者の意思決定プロセスといいます)に関連させて研究しています。

 

今までそれぞれ個別のテーマでの研究はありますが、一連の流れで捉えた研究は、世界で初めてです。日本から世界に新しい理論を発信すべく、努力中です。

 

今年の関東学生マーケティング大会(他大学との討論会、50チーム以上が参加、私のゼミからは3チーム参加)で プレゼン賞で第1位をとったチームの雄姿
今年の関東学生マーケティング大会(他大学との討論会、50チーム以上が参加、私のゼミからは3チーム参加)で プレゼン賞で第1位をとったチームの雄姿
 SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

従来のマーケティングは、様々な人の好みに合わせるため、大量の新製品を市場導入し、売れなければ廃棄するということをしてきました。SDGsとは正反対だと言えましょう。

 

しかし現代において、SDGsを無視した企業行動は社会に受容されません。このため、消費者の好みを早めに知り、適切な商品を作り、長く使ってもらう必要があります。消費者の本音が瞬時にわかるSNSは、SDGsをマーケティングに応用する上で大事な技術です。

 


 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

インターネット時代の新しい消費者意思決定プロセスの実証研究

詳しくはこちら

 

 注目の研究者や研究の大学へ行こう!

中西正雄

関西学院大学 経営戦略研究科 名誉教授

【消費者行動の数理的分析】研究者はかくあるべき、という研究に対する姿勢、人をほめて育てる上手さ、ダメなものにはダメと言える強さがあります。

中西先生の授業風景(関西学院大学HPより)


片平秀貴

丸の内ブランドフォーラム代表(元東京大学 経済学研究科)

【ブランド論】遊びと研究の両立ができるすごさ、新しい研究方向を探しだす嗅覚の鋭さがあります。

片平研究室HP(BRAND MARKETING)


Leonard Lee

National University of Singapore Department of Marketing

【消費者行動論】非常に忙しいのに着実に研究を進める姿、ものすごく優秀なのにそれをひけらかさない謙虚な姿勢が素晴らしいと思います。

Leonard先生のページ

 


 どこで学べる?

「商学」学べる大学・研究者はこちら(※みらいぶっくへ)

 

その領域カテゴリーはこちら↓

19.経営システム・ビジネス」の「79.マーケティング」

 


 先生の講義では

新入生向けの講義「商業学」では

 

マーケティングという学問に興味を持ってもらうべく、なるべく具体的な例を挙げて話をします。例えばコンビニエンスストアの強みは何か、百貨店はどうして人気がないのか、など。

  

 もっと先生の研究・研究室を見てみよう
普段のオンラインでのゼミの様子。和気あいあいとやっています。
普段のオンラインでのゼミの様子。和気あいあいとやっています。
 先輩にはこんな人がいる ~就職

業職種

 

(1)食品メーカーのマーケティング関連業務

(2)広告代理店のマーケティング関連業務

(3)調査会社の調査部

 

 

◆学んだことはどう生きる?

 

あるメーカーで、新規事業立ち上げの部署が作られました。そこは総勢4名でスタートしましたが、その4名のうち2名がうちのゼミの卒業生でした。ゼミで学んだマーケティングの手法を駆使し、商品開発をし、調査・分析を行い、実際に商品として発売しました。発売に際して、広告戦略を立てた広告代理店の担当者が、これまたうちのゼミの卒業生で、共同作業が上手くいったため、現在その商品は順調に売れています。

 

 先生の学部・学科は?

世の中にマーケティングを強みとして標榜する大学はいくつもありますが、慶應義塾大学の商学部は、マーケティングを専門にしている教員が8名おり、これは他大学の追随を許さない規模です。研究領域も、数学的なマーケティング・サイエンス、消費者を研究する消費者行動論、モノの流れを探る商業学など多岐にわたり、それぞれ各マーケティング分野のトップクラスの人材を揃えています。

 

 中高生におすすめ ~世界は広いし学びは深い

天気の子(映画)

新海誠(監督)

この映画は、マーケティングの最近の新しい手法である、プロダクトプレイスメント(劇中にさりげなく商品の広告を入れる:主人公の持ち物や自動販売機など)の手法を用いています。映画としても話題でしたが、そういう視点で見てみると、新しい発見がありますよ。



嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え

岸見一郎、古賀史健(ダイヤモンド社)

これはうちのゼミの学生も推薦する本です。親の期待や周りの期待に応えようとして、窮屈な生き方をしている若い人に、「こういう考え方もあるんだ」という視点を与えてくれる書物です。考え方を変えるだけで、楽しく生きることができる、ということを説いてくれています。


 先生に一問一答

Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

政治学。経済学やマーケティングよりも人間臭く、世の中への影響力が強いため。

 

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 

シドニー。気候・治安が良く、食べモノも美味しい。日本人の医師もいて、いざとなったら英語を喋らなくても済む。

 

Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は?

『アンタッチャブル』/『逃亡者』(撮影場所が住んだことのあるシカゴのため)、『永遠の0』(ゼロ戦が好きなため)、『007スペクター』/『フォードvsフェラーリ』(クルマが好きなため)。

 

Q4.大学時代の部活・サークルは?

旅行。その他スキーも少々。

 

Q5.会ってみたい有名人は?

ビル・ゲイツ。世界を変えた人は、今、何を考えているのか知りたい。優秀な通訳付きで。